ベンチャー相次ぎ誕生、資源生かす十勝 地方創生の成功例として政府も注目

■「稼ぐ力」持つベンチャー続々

開拓者精神が根付く北海道の中で民間の移民により地域発展に取り組んできた十勝で、ベンチャー企業が相次ぎ誕生している。高い生産力を持つ農畜産業や豊かな自然環境といった地域資源に着目。十勝の絶景と移動型宿泊施設を組み合わせたり、シェアビジネスの飛行機版で事業に挑んだりと「今までにない」アイデアで新事業創出に立ち向かう。キーワードは“掛け算”。起業精神あふれる十勝の若者に、斬新なビジネスモデルを創り上げた全国の革新的経営者が刺激を与える“知的混血”によって「稼ぐ力」を呼び起こしつつある。

◆革新者と若者コラボ

「トレーラーハウスと聞いていたのでびっくり。水洗トイレやシャワー、ロフトなどが付いているすてきすぎる家。快適空間に癒やされまくり」

昨年6月に利用した男性はこんなコメントを残した。宿泊だけでなく、食事は地元産食材や調理器具などをそろえてくれるので、利用者は火にかけるだけでバーベキューやダッチオーブンでつくるアクアパッツァ、スープカレーなどを味わえる。至れり尽くせりのもてなしに「すげぇー」を連発したという。

「タイニーハウス(小さな家)」を車で牽引(けんいん)しながら眺望が素晴らしい丘、星空がきれいな場所に移動して設置、キャンプというよりグランピングを手ぶらで楽しめる。

こんなぜいたくを用意したのが2017年1月設立のKOYA.lab(北海道本別町)。創業者は地元で土木建築業を営む4代目の岡崎慶太氏。「北海道の田舎を満喫してもらいたいが地元にホテルはない。リゾートホテルは無理なので一風変わったホテルを建てることにした」

岡崎氏の背中を押したのが、十勝の稼ぐ力を創り出す「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」。地域の金融機関、自治体、シンクタンク、メディアなどが野村総合研究所の協力を得て15年から始めた。岡崎氏はTIP1期生だ。

「革新は同じムラ社会からは生まれない」との考えから、異質な発想を持つ革新者(火種)と、十勝に根を張って起業へのモチベーションを強く持つ若者(火の玉人材)を掛け合わせるとともに、とんがった若者同士も対話による刺激を得て稼ぐ力を喚起する。帯広信用金庫など地域金融機関がプロデューサーとして主体的に動き、帯広市など十勝19市町村がバックアップする態勢も整えた。

◆タイニーハウス成功

岡崎氏の火種となったのは「養鶏業から村丸ごと振興」を成し遂げたコッコファーム(熊本県菊池市)の松岡義博会長。「地元を巻き込んで成功したと聞いて、やってみたい気持ちに火が付いた」と言い、TIPの同期でタイニーハウスの設計者でもある山本晃弘執行役員と二人三脚で奮闘する。

起業に当たり重視したのは、地域商店とのコラボレーションによる「真の地域振興。既存店舗が繁栄するための起爆剤になること」。地元の本別町商工会青年部に所属していたつながりを生かし、料理は飲食店から運んでもらうほか、シーツのクリーニングやガス供給などで地域とのコラボが進んでいるという。

初年度は10組ほどの利用にとどまったが、手応えは感じており「2年目は3、4倍に増やす。タイニーハウスをもう1台作りたい」と意気込む。まずは十勝でビジネスモデルを確立し、全国展開も視野に入れる。「同じスタイルを取れる田舎は全国にある。各地の商工会青年部も地域を盛り上げたいメンバーばかりなので宿泊施設を持っていないところに声をかけていきたい」と前を向く。

■地方創生の成功例 政府も注目

高齢社会という地域課題の解決に挑むプロジェクトも立ち上がろうとしている。わたしはひつじ(帯広市)の伊藤由生子代表が、地元の羊牧場から収穫できる羊毛を要介護高齢者たちに編んでもらいフェルトを作るアイデアを抱いてTIPの第3期(17年7~11月)に参加した。

1人で起業する考えだったがワークショップを通じて「1人では実現不可能なアイデアと分かった。私と違う視点、意見を聞いているうちにプランが具体化し現実味が帯びてきた。みんなと一緒ならできると感じた」と振り返る。

今は合同会社設立に向け、認知症高齢者グループホーム経営者ら意気投合した仲間3人と奔走する。創業時に苦労する資金調達は、帯広信金の提案でクラウドファンディングを活用する予定。伊藤さんは「要介護の高齢者でも作業中は生き生きとしている。羊をツールに認知症にならない空間をつくりたい」と笑う。TIPを呼び掛けた野村総研の齊藤義明氏は「1人では無理でもチームなら化学反応が起きる。ゼロからイチを立ち上げる種に外から刺激を与えて、今までなかったクレージーアイデアに変わるよう促す」と説く。第3期を終えて28件の新事業構想が誕生し、5事業が会社設立に至った。

世界市場を視野に入れた本格的なビジネスから、スケールより地域の魅力を深掘りするディープなビジネスまで多種多彩だ。従来の規制に抵触するような新事業もあるという。

地方創生に必要なのは人材だが、十勝には「開拓者精神が残っており、ビジネスは自分で起こすという起業家の感覚を持つ火の玉人材は多い」(齊藤氏)。火種との化学反応で、魅力的な地域資源を生かしたベンチャーが勃興しつつあり、政府も地方創生の成功例として注目している。(松岡健夫)

 

北海道の十勝から始まったイノベーション(刷新・革新)のプログラムがいろんな形で広がっている。これも情報を得るすべが無いと知らずに過ぎてゆく。情報は発信されているが受け取るすべを知らないと届かない。知ろうとする行動が大事だと言うことがよくわかる。それも出来れば近い仲間でありたい。情報の共有は伝え方で変わる。だから近い仲間での情報の伝達が安心できるし正確に伝わる。ネットワーク協議会はそんんな仲間を増やすチャンスを作りたいのです。仲間を広げて正確な情報の共有から新しいイノベーションを起こしましょう。

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